特許の取り方について知るべき7ステップと特許事務所への依頼方法

特許の取り方を検討しているイメージ図

「これ特許取っておいたほうが良いんじゃないかな?」

そんなビジネスアイデア・技術アイデアが社内に見つかって、特許取得を検討中という方の為に今回は「特許の取り方」を説明します。

特許を取得するには、大きくわけて7つのステップが必要です。

  1. 事前準備
  2. 出願書類作成
  3. 書類を特許庁に提出
  4. 「出願審査請求」
  5. 「拒絶理由通知」に反論
  6. 「特許査定」
  7. 「特許料」を納付

そして、これら7つのステップをこなすには2通りのやり方があります。

  • 自社で書類を作成し手続きを行う
  • 手続きの代理を特許事務所に依頼する

結論から言うと特許事務所に手続き代理を依頼するのが圧倒的に安全かつ効率のよいやり方です。

とはいえ、やはり予算の都合から自社で特許取得手続きを行えるか検討したいという方もいらっしゃると思います。

そこでこの記事では、まず第1章で特許を取得する際には特許事務所に依頼したほうが良い理由を詳しく説明します。

そして第2章では具体的な特許の取り方の全体像、第3章では手続きを行う際の注意点を説明いたします。

これらの章を読んで頂くことで特許を取得するには、特許事務所に手続き代理を依頼するのがベストな方法だということを理解していただけると思います。

そして最後の第4章では、第2章、第3章を読み「特許事務所に依頼してみよう」と考えいただけた方の為に、初めて特許事務所に依頼するときに押さえておいたほうがよいポイントを説明いたします。

この記事を読んでいただくと、特許を取得するために貴社がどう行動すべきか理解していただけると思います。

ぜひ最後まで読んで見て下さい。

1. 特許を取得するには特許事務所に手続代理を依頼すべき3つの理由

特許を取得するためには特許事務所に取得手続代理を依頼すべきです。理由は3つあります。

  • 事業に活かせる特許を取得するため
  • 時間コストが高くつくから
  • 特許を取れないリスクが高いから

特に1番めが重要です。順番に説明していきます。

1.1 事業に活かせる特許を取得するため

特許取得手続きを特許事務所に依頼したほうが良い最大の理由は、なんといっても貴社の事業に活かせる特許を取得するためです。

特許は単に取得すれば良いというものではなく、自社の事業内容・事業目的とリンクしている必要があるからです。

特許権が自社の事業内容・事業目的とリンクしていると言えるためには、例えば以下のような項目が満足されている必要があります。

  • 自社事業を行う上でコアとなる技術が特許の技術的範囲に属している
  • 自社のビジネスモデルが特許の技術的範囲に属している
  • 自社製品・サービスが提供する体験価値・ユーザー体験を保護する特許になっている
  • マーケティング・ブランディング活動を行う上で有利な特許になっている
  • 将来の事業提携や資金調達を考慮した内容の特許になっている

これら総合的な観点を考慮して、どのような特許出願を行うか設計・戦略立案するのは通常は専門外の方には不可能です。

多様な能力、知見、ノウハウが必要だからです。

必要となる能力・知見・ノウハウの例

  • 実際の製品・ビジネスモデルが「技術的範囲」と呼ばれる特許権の保護範囲に属するかを判断するのための能力
  • マーケティング・ブランド構築活動と特許権の関係を理解できる能力
  • 事業提携の際に事業会社やベンチャー企業に発生しうるリスクなどについて幅広い知見・ノウハウ

私達、専門家が存在する意義はこの点にあります。

1.2 時間コストが高くつくから

特許取得は特許事務所・弁理士に依頼したほうが良い二番目の理由は「コスト」です。

自社で特許取得の手続きを行おうとすると金銭的コストは節約できますが、一方で時間コストが高くつきます

特許取得のための手続きをミスなく遂行するにはとても多くのノウハウが必要で、これらノウハウの習得に多大な時間を要するからです。

その結果、貴社が負うべきトータルのコスト(金銭的コストと時間コストの合算)は、自社で特許取得手続きを行った場合のほうが特許事務所に依頼した場合よりも高額になると考えられます。

どれくらいの時間コストが必要となるか

専門外の担当者が、特許出願に必要な手続きを学習・理解することから初めて特許出願に至るには、おそらく数週間~数ヶ月単位の時間が必要になると想像されます。

例えば、特許出願を行うには願書、明細書、特許請求の範囲、図面、要約書といった書類を作成し、特許庁に提出する必要があります。

これら書類の作成方法は、独立行政法人 工業所有権情報・研修館が発行する、「特許出願書類の書き方ガイ ド 書面による出願手続について」というガイドにまとめられています。

しかし、実はここに記載されているのは、特許出願書類の書き方の形式的な面(体裁面)のごく一部です。

このガイドに従い書類の作成を進めようとすると、実際の発明・技術をどのように記載したら良いのか?という疑問に直面します。

この疑問を解決するには、「特許法」「特許・実用新案審査基準」を体系的に理解する必要が出てきます。

「特許法」は、発明を特許出願書類に記載する際の原則を規定する法律です。そして「特許・実用新案審査基準」は、出願された発明が特許されて良いものであるかを審査するときに参照される基準です。

上のリンク先を一度参照してみてください。これらを一読するだけでも相当の時間が必要となることがおわかりいただけると思います。

専門外の担当者が、「特許法」「特許・実用新案審査基準」を理解した上で特許出願書類を作成しようとすると、おそらくその作業には数週間~数ヶ月規模の時間を費やすことになると想像されます。

1.3 特許を取得できないリスクが高い

特許事務所に手続きの代理を依頼することおすすめする最後の理由は、専門外の人が手続きを進めると特許を取得できないリスクが高いからです。

特許出願の為に必要な、上述の「特許出願書類の書き方ガイ ド 書面による出願手続について」、「特許法」「特許・実用新案審査基準」に関する知識の他に、特許取得の為には、以下のような知識・ノウハウが必要となるからです。

特許取得に必要となるノウハウの例

  • 手続きを行う期限管理についてのノウハウ
  • 発明の技術的内容・効果をうまく「言語化」するノウハウ
  • 審査官と良好なコミュニケーションを取り信頼関係を築くノウハウ

残念ながら現状はこれらのノウハウが詳細かつわかり易く公開されている状況にはありません。

そして、このようなノウハウのいずれかが欠けるごとに特許を取得できなくなるリスクは上がっていきます。

貴社の事業に活かせる特許を取得したいとお考えの皆様は、絶対に特許事務所に出願手続代理を依頼するようにして下さい。

1.4 この章のまとめ

さて、このように私達は特許取得手続きは絶対に特許事務所に手続代理を依頼すべきと考えていますが、他方で企業には様々な事情があることも理解しています。

自社内で特許取得手続きできるか検討を進めたいとお考えの企業もあると思います。

そこで以下の章では具体的な特許取得の7つのステップ(第二章)と、特許取得する際の5つの注意事項(第三章)を説明します。

これらの章を見ていただくことで、特許取得手続きの複雑さや困難さをより一層理解していただけると思います。

ぜひこのまま読み進めて下さい。

2. 特許取得までの7つのステップ

さて、この章では特許を取得するための手続き・ステップを説明します。

特許取得には以下の7つのステップが必要となります。

特許の取り方7つのステップ
  • ステップ1
    事前準備
    発明の特定、先行技術調査
  • ステップ2
    出願書類の作成
    願書、明細書、特許請求の範囲、図
  • ステップ3
    特許庁に書類を提出
    オンラインで特許出願します。
  • ステップ4
    出願審査請求
    審査請求をしないと審査してもらえません。
  • ステップ5
    拒絶理由通知に対応
    約9割の出願に対して拒絶理由が通知されてくるので反論を提出します。
  • ステップ6
    特許査定
    反論が認められると特許査定されます。
  • ステップ7
    特許料納付
    特許料を納付することにより特許権を得ることができます。

以下に詳細に各ステップの内容を説明していきます。

2.1 事前準備

まずは事前準備です。事前準備では、二つの作業を行います。

発明の内容の特定先行技術調査です。

発明の内容の特定とは、特許を取得したい技術の内容をはっきりさせる作業のことです。

先行技術調査というのは、これから特許を取得したい発明と同様の発明やよく似た発明が存在しないか確認するための調査です。

先行技術調査を行うには、発明の内容が特定されている必要があるので、先に発明の内容の特定を行います。

発明の内容の特定

自社技術・ビジネスモデルの中から、特許を取得したい発明を抽出していきます。このような作業を発明発掘といいます。

開発した技術・ビジネスモデルの中の特徴的な部分を抽出していく作業です。

一見簡単に思えるこの作業にも所定のスキルが求められます。

発明を抽出・発掘するには、特許法条の発明とは何であるかを正しく理解している必要があるからです。

定義:「発明とは発明とは自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう(特許法第2条第1項)」

特許法に定められた発明の定義や、「特許・実用新案審査基準」の第III部 特許要件 第1章 発明該当性及び産業上の利用可能性(特許法第29条第1項柱書)を参照しながら、特許出願したい発明を特定し言語化します(言葉で表していきます)。

この時点の言語化はそれほど詳細に作り込んだものでなくても大丈夫です。

この後行う先行技術調査の結果しだいで、文言を調整する必要が出てくる可能性があるからです。

以下に例示するような自社発明の特徴的と言える部分を明確に言葉で表現しつつも、できるだけ概念的となるような文言を選んで発明・技術を言語化していくとより強力で、事業に活かせる特許を取得できる可能性が高まります。

  • 自社のコア技術
  • 自社のビジネスモデル
  • 自社製品・サービスが提供する体験価値・ユーザー体験

事業に活かせる特許であるためには、これらが特許権の保護範囲に属している必要がある一方、できるだけ広い権利範囲を獲得できたほうが有利だからです。

最初はどのように特定したらよいか良くわからないと思いますので、特許情報プラットフォーム J-Platpatで、例えば製品名、サービス名、競合他社名など適当に検索してみて、ヒットした特許文献の「特許請求の範囲」の記載ぶりを参照しながら真似してみると良いと思います。

先行技術調査

特許出願したい発明が決まったら、先行技術調査を実施します。同じ発明・似たような発明に対して既に特許文献が公開されていたり、他社が特許を取得していないかチェックするためです。

このような場合、新規性違反、進歩性違反などの理由で特許を取得することができないからです。

調査には、特許情報プラットフォーム J-Platpatを使用します。

具体的な調査の方法は、それだけで一冊の書籍がかけるほど複雑ですのでここでは割愛します。独立行政法人工業所有権情報・研修館のウェブサイト等を参照しながら調査を進めて下さい。

ネガティブな調査結果が得られたら

良好な調査結果が得られなかった場合、つまり同じ発明や似たような発明について特許文献が発見された場合は、特許出願の方針を再建等する必要があります。

場合によっては特許出願を断念するばかりでなく、事業計画自体の変更・修正が必要な場合もあります。

特に、自社技術と同じ技術に他社が特許を取得しているのを発見したら、早期に専門家の意見を仰ぐことをお勧め致します。

放置してそのまま事業を進めてしまうと、後々特許権侵害事件に発展するなどといった大ダメージを受けることとなってしまう可能性もあるからです。

良好な調査結果が得られたら

先行技術調査で特許取得の可能性がありそうとの結果が得られたら特許出願書類の作成に進みましょう。

 

参考情報:特許出願の手続きは自社で行うという場合であっても、先行技術調査だけ特許事務所や専門の調査会社に依頼することもできます。費用は調査を行う範囲に応じて数万円から数十万円と大きな幅があります。

2.2 特許出願書類の作成

特許出願を行うにあたって必要な書類は以下の5つです。

願書、明細書、特許請求の範囲、図面、要約書

独立行政法人 工業所有権情報・研修館のウェブサイト(各種申請書類一覧)で申請書類のワードファイルが入手可能です。ダウンロードして利用して下さい。

書類を作成する際には、最低限、以下の二点には目を通しておくことをお勧めします。

特許出願書類の書き方ガイ ド 書面による出願手続について」(独立行政法人 工業所有権情報・研修館)

特許・実用新案審査基準」(特許庁)

特に重要なのは、後者の「特許・実用新案審査基準」(特許庁)です。これから特許庁に提出される出願書類が、審査官によってどのような観点で審査されるかということが記載されています。

ここに書いてある条件を全て満たした発明・出願書類だけが審査をパスできるということです。

(注:特許・実用新案審査基準に記載してあることを完全に理解しようとすると、数ヶ月~年単位の期間が必要になると思います。まずは第I部と第II部だけ、できたら第III部を参照されてはいかがでしょうか。)

2.3 特許庁への出願書類の提出

書類が完成したら書類を特許庁に提出します。この手続を「特許出願」と言います。

一般的には特許申請と呼ばれることも多いですが正式には特許出願といいます。「特許出願」は特許法に定められた法律用語です(特許法第36条)。

特許出願を行うには、出願書類をプリントアウトした書面を特許庁の窓口に提出・郵送するか、電子データを使ってオンライン手続きにより提出します。

特許庁の窓口へ持参する場合

特許庁1階に出願受付窓口という窓口があるので、そこに直接持参して提出します。

受付時間:9時から17時まで(平日)
土曜日、日曜日、祝日、年末年始は、開庁していませんので注意して下さい。

郵送する場合

郵送する場合は、以下の住所に郵送します。

〒100-8915 東京都千代田区霞が関3丁目4番3号 特許庁長官 殿

※宛名面(表面)余白に「特許願 在中」と記載して、書留・簡易書留郵便・特定記録郵便で提出します。

出願手数料の納付

書類を書面で提出する場合、願書に特許印紙とよばれる印紙を貼って出願手数料を納付します。

特許印紙は、集配郵便局等や特許庁内でも購入できます。金額は14,000円です。

*収入印紙ではなく特許印紙ですのでご注意下さい。

電子化手数料を納付

書類を窓口に持参、または郵送して書面で提出した場合には、電子化手数料と呼ばれる手数料を納付する必要があります。

出願日から数週間後に送付される払込用紙が送付されてきますので、そこに記載の金額を納付します。

金額は1,200円+(700円×書面のページ数)です。例えば書面が10ページだった場合、8,200円ですね。

インターネットを用いて出願する場合

インターネット回線を通じて特許出願を行うことも可能です。

事前に、電子証明書、カードリーダーの入手、専用ソフトのインストール、申請人利用登録などの準備が必要なので、書類を書面で提出するよりハードルは高めです。

電子化手数料を納付する必要がなく、その分の費用を節約できます。

詳細は電子出願ソフトサポートサイトで確認できます。

わからないことはリンク先に記載されているサポートセンターに電話で問い合わせるととても親切に教えてもらえます。

出願手数料の納付

オンライン出願を行った場合は、以下のいずれかの方法で出願手数料を納付します。金額は、書面で提出した場合と同じ14,000円です。

  • 電子現金納付 (ペイジーによる支払い)
  • 口座振替 (指定口座から引き落とし)
  • 予納 (特許印紙を特許庁へ郵送)
  • 現金納付 (特許庁専用納付書による支払い)
  • 指定立替納付 (クレジットカードによる支払い)

詳細は、同じく電子出願サポートサイト「手数料の納付方法」で確認できます。

2.4 出願審査請求

特許を取得するには特許出願をした後、「出願審査請求」という手続きを行う必要があります。

この「出願審査請求」をしたものしか、審査官による「実体審査」を受けることができないからです。

実体審査というのは、特許を受けられる条件(新規性、進歩性、先願性など)が満たされているかをチェックする審査のことです。

出願審査請求の書類・手続き・時期

出願審査請求を行うには、出願審査請求書という書類を作成し特許庁に提出します(リンク:出願審査請求書の作成方法)。

出願審査請求は、特許出願から3年以内にする必要が有ります。

特許出願と同時にすることもできますし、3年という猶予期間が設けられているので、その間、事業を進めながら様子を見るということも可能です。

出願から3年以内に出願審査請求がされない場合、特許出願は取り下げられたものとみなされ、以後、その発明について特許を取得することは絶対に不可能となります。

出願審査請求の期限管理は、特許出願後の手続きの中で最も重要な手続きの一つです。

出願審査請求に必要な費用

特許庁に対して、138,000円+請求項数×4,000円の手数料を支払います。

例えば請求項が3項の場合だと150,000円ですね。

実体審査の内容

出願審査請求後に行われる実体審査では、出願した発明が特許を受けることができるものであるかについて審査が行われます。

審査される代表的な項目は以下です。

  • 発明該当性
  • 産業上の利用性
  • 新規性
  • 進歩性
  • 先願性
  • 拡大先願性
  • 不特許事由
  • 実施可能性
  • 明確性
  • 簡潔性
  • 単一性

実体審査は、先程も記載した「特許・実用新案審査基準」(特許庁)に従って進められます。

つまりここに記載してあることを把握した上で特許出願書類を作成すると特許される可能性が向上します。もちろん出願する発明自体が特許される条件を満たしていることが最重要です。

実体審査の期間

出願審査請求から約9,5ヶ月で最初の審査結果がわかります。

もし、もっと早く審査の結果を知りたいという場合は早期審査、スーパー早期審査といった手続きを申請することができます。

早期審査の場合、申請から2.5ヶ月程度、スーター早期審査の場合、申請から0.6ヶ月程度で審査の結果を知ることができます。

参考:特許行政年次報告書2020年版

早期審査・スーパー早期審査の申請方法

早期審査、スーパー早期審査を申請するには、「早期審査に関する事情説明書」という書類を作成し特許庁に提出します。

作成の方法は、以下のリンク先で詳しく説明されていますので参照してください。

参照:特許出願の早期審査・早期審理について(特許庁のウェブサイトにリンクされています)

2.5 拒絶理由通知に対応

審査官による実体審査の結果、拒絶理由が発見された場合、拒絶理由通知という書類が送達されてきます。

拒絶理由通知とは

拒絶理由というのは、特許を受けることができない理由の事です。先程記載した、以下の条件のどれかが満たされていませんよという通知です。

  • 発明該当性
  • 産業上の利用性
  • 新規性
  • 進歩性
  • 先願性
  • 拡大先願性
  • 不特許事由
  • 実施可能性
  • 明確性
  • 簡潔性
  • 単一性

一つの拒絶理由通知の中に複数の拒絶理由が記載されていることもあります。

統計的には約85%の出願に対してなんらかの拒絶理由通知が発せられます。

経験的に、一番多いのは進歩性違反の拒絶理由通知です。つまり出願された技術は、従来からある技術Xと技術Yを組み合わせることで容易に発明できるから特許できませんよという通知です。

このような拒絶理由通知に対しては、意見書・手続補正書という書類を提出して審査官に反論します。

拒絶理由通知への反論方法

反論のパターンは様々です。

  • 技術Xと技術Yを組み合わせるのは容易でない理由を述べる(通常はそのような発想ができない理由を説明する)。
  • 技術Xと技術Yを単純に組み合わせようとすると問題が生じることを説明する。
  • 今回出願した技術は、単純に技術Xと技術Yを組み合わせた以上のものであることを説明する。
  • 手続補正書によって出願した技術の内容を変更したので拒絶理由は存在しなくなった。
  • そもそも審査官は技術の認定を誤っている。

反論のパターンをどれくらい持っているかで特許査定を勝ち取る確率が変わってきます。

反論を提出できる時期

意見書・手続き補正書は、通常、拒絶理由通知の送達から60日以内に提出する必要があります。このような期間を応答期間と言います。

応答期間は、期間延長請求書を提出することで、2か月の延長が認められます。手数料2,100円が必要です。

拒絶理由通知への対応方法(特許庁のリンク)

拒絶理由通知への対応方法は、特許庁にも詳しい説明がありますので参照してください。

参照:特許の拒絶理由通知書を受け取った方へ

2.6 特許査定

反論が認められると特許査定を受けることができます。特許査定の謄本という書類が送られてきます。

統計によると、最終的に特許査定を受けることができる確率は74.9%です。

参照:特許行政年次報告書 2020年版

この時点で特許権はまだ発生しておらず、次の最終手続きを行う必要があります。

2.7 特許料の納付

特許査定の謄本の送達を受けたら、30日以内に特許料を納付します。特許料を納付すると、「設定登録」という手続きが特許庁でなされ特許権が発生します。

特許権発生までの流れ図

特許料の金額は、 (毎年 2,100円+(請求項の数×200円))×3年分です。仮に請求項の数が3項だとすると、8,100円ということになります。

特許権の設定登録が完了すると、特許庁から特許証が交付されます。

2.8 この章のまとめ

特許取得のための7つのステップ全体像を見て頂きました。手続きの難しさ複雑さかげんを理解していただけたと思います。

引き続いて、次の章では特許取得を検討している段階でしっておくべき注意事項を説明します。これを知っているといないとでは、貴社が取得できる特許の価値に大きな違いがでてきます。

ぜひこのまま読み進めて下さい。

3. 特許取得を検討しているときに注意すべき5つのこと

さて、ここからは特許を取得するにあたって絶対に知っておいたほうが良いポイントを説明します。

ポイントは5つあります。

  • マスターとなる書類を網羅的に作成する
  • 出願審査請求をするのを絶対に忘れない
  • 出願するまで発明の内容は秘密にする
  • 特許出願はできるだけ早期に行う
  • 拒絶理由通知が出されてもあきらめない

どれも特許を取得する上で重要なポイントばかりです。順番に説明していきます。

3.1 マスターとなる書類を網羅的に作成する

最初のポイントです。特許出願をする際はマスターとなる書類網羅的に作成しましょう。

マスターとなる書類というのは、特許出願をするときに提出する明細書、特許請求の範囲、図面のことです。

特許法には新規事項追加の禁止(特許法第17条の2)というルールがあって、これらマスターとなる書類に後から情報を追加することはできないからです。

実際の製品・サービスの一部の動作モードについて説明が不足していたり、実は別の機能もあるなんて場合でも、当初明細書に記載していなければ後から追加できません。

マスターとなる明細書、特許請求の範囲、図面は、多様な事態・態様を想定して網羅的に記載しましょう。

想定すべき事態・態様の例

  • 自社製品・サービスの仕様・設計が変更される予定・可能性がある(ピボットを想定している)
  • 競合他社の製品・サービスを侵害として排除できる特許請求の範囲になっている
  • 競合他社の侵害回避を容認しない広い権利範囲を獲得しようとしている
  • 後参入してくる競合他社のあらゆる態様を想定し排除可能性を残している
  • 自社・他社技術をきちんと峻別している(事業提携、共同開発時など)

3.2 出願審査請求を忘れたら取り返しがつかない

出願審査請求を出願と同時に行わない場合、出願審査請求手続きを行うのを絶対に忘れないようにしましょう

出願審査請求は出願から3年間することができます。

しかし、それ以後は一切することができず、この手続きを忘れてしまうと権利獲得の途が立たれてしまうからです。権利化への途は一切残されません。

3.3 出願するまで発明の内容は秘密に

特許出願を予定・検討している間は、発明・技術・ビジネスモデルの内容を外部に公開しないようにして下さい。

新規性が失われ、特許を受けることができなくなるからです(特許法第29条第1項)。

プレゼン・営業活動を行う予定がある、PoC、共同開発、事業提携の引き合いがある、論文発表、プレスリリースの予定がある、ウェブサイトで告知したい等、外部に公開する必要がある場合には、かならず事前に専門家に相談してください。

注:新規性を失っても特許を取得することができる「新規性喪失の例外」という特別手続きもありますが、多くのデメリットが付随します。

新規性喪失の例外規定をあてにするデメリット

  • 出願を先延ばしにしたばかりに他社に先に出願されてしまった。
  • 出願を先延ばしにしたばかりに多くの公開公報が発行され特許の可能性が下がってしまった。

3.4 できるだけ早期に特許出願する

特許出願はできるだけ早期に手続きを行うようにして下さい。

早期に出願することによって以下の事態を回避でき、特許を取得できないリスクを軽減できるからです。

  • 他社が同じ発明に対して特許出願をしてしまう
  • 公開されている技術情報の数量が増える

他社が同じ発明に対して特許出願をしてしまうと、後から特許出願した人(後願といいます)は、特許を受けることができません。

公開されている技術情報の数量が増えると新規性違反や進歩性違反の可能性があがり、特許を受けられなくなるリスクが上昇します。

3.5 拒絶理由通知が来てもあきらめない

拒絶理由通知が来たからといって特許を取得するのを諦める必要はありません。

拒絶理由通知は約85%の特許出願に対して送られて来ますが、適切な反論(意見書・補正書)を行えば、特許査定を得ることができる可能性が高いからです。

例えば2020年の統計値だと、最終的な特許査定率は平均74.9%です。

参考:特許行政年次報告書2020年版

適切な反論(意見書・手続補正書)を作成するのに必要なノウハウ

適切な反論を作成するには、以下のノウハウが必要です。

技術に関するノウハウ:

  • 特許出願したその技術に関する広く深い見識
  • 他社技術と自社技術の微細な違いも見逃さない技術力

審査官に説得力ある反論を作成するためのノウハウ:

  • 審査官が重視するポイントに関するノウハウ
  • 過去に成功した反論・意見書のパターン
  • 審査官との対話・コミュニケーション方法に関するノウハウ

4. 初めて特許事務所・弁理士に依頼するときの2つのポイント

最後にこの章では、初めて特許事務所・弁理士を選ぶ際のポイントを2つ紹介いたします。

  • 技術分野・専門性を重視する
  • 最初から大きなコストをかけすぎない

順番に説明していきます。

4.1 技術分野・専門性を重視する

貴社が特許出願しようとしている技術を正しく理解してくれる特許事務所・弁理士を選ぶことは極めて重要です。

特許は技術的思想を出願書類上に言葉で表現し、それに対して独占権が付与されるものなので、技術を正しく理解することなく適切な権利獲得は不可能だからです。

ですので特許事務所・弁理士を選ぶ際に、得意としている技術分野・専門性を確認することは必須と言えます。

技術分野を考慮するときに注意すべきこと

他方で技術分野を重視しすぎてはいけない理由も存在します。

弁理士は、競合関係にある二社を代理できない仕組みがあるからです(弁理士法第31条)。

例えばトヨタ自動車の代理人は、日産自動車の代理をすることができません。一方の技術が他方に流出しては困るからです。

自社製品と関連する分野を得意としていそうな特許事務所が見つかったとしても、その特許事務所の既存顧客との関係で依頼を受けてもらえないことがある点に注意しましょう。

4.2 最初から大きなコストをかけすぎない

特許事務所・弁理士選びにも最初から大きなコストをかけ過ぎないほうが良いです。事業を開始するときと同様です。

この場合のコストには時間コストのことを言っています。

もちろんウェブサイト等である程度の時間をかけて情報を収集することは重要ですが、しかるべきタイミングで(できるだけ早期に)「問合せ」をしてみることをお勧め致します。

問合せは簡単な内容でけっこうです。目的は問合せをする内容の回答を得ることだけに留まらないからです。

問合せに回答が得られたら、次は電話やウェブ面談等で手続きの流れ・サービス内容等について確認してみると良いと思います。

信頼できそうであれば、実際に事務所に訪問して貴社技術の詳しい話しを聞いてみて見積もりを依頼するなどするのが良いです。

このように貴社の時間を投資する量を段界的に増やしていくことで、その特許事務所が信頼に値する特許事務所であるのかを段界的に確認できるからです。

途中でコミュニケーションを取るのが難しそう、または技術内容を理解してもらえなさそうなど感じたら、残念ながら他の特許事務所・弁理士を探すこととなりますが、大きな時間・予算をいきなり投入して回収不可能な事態となるよりずっと安全かつ確実です。

そのような作業を繰り返すことによって貴社にあった特許事務所・弁理士を選んでいただけると思います。

ぜひお試し下さい。

5. まとめ

以上、今回は特許の取り方を説明いたしました。

特許を取得したいとお考えの方は、必ず特許事務所に手続代理を依頼し貴社の事業に活かせる特許を取得してください。

特許事務所を探し、依頼に至るまでのプロセスは前章・最終段落に記載した通りです。

貴社にとって最善の特許事務所が見つかることを祈念いたします。

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