商標登録出願を検討していて、出願の流れを詳しく知りたい。
今日はそんな貴方のために記事を用意しました。
商標登録を受けるまでには10のステップが必要となります。そのような10のステップを第一章に詳しく説明しました。
第一章を読んでいただくことで、商標登録までの全体像を把握していただくことができます。
そして第二章には、そのような商標登録手続きを弁理士に依頼するメリットを説明しました。
第二章を読んでいただくことで、商標登録出願を自社で行うべきか、弁理士に依頼すべきかという疑問を解決していただけます。
ぜひ最後までじっくり読んでみて下さい。
1. 商標登録までの10のステップ
商標登録までには10のステップが存在します。
1.1「商標」の決定
まずは「商標」を決定します。
初めての商標登録の際に検討されることが多いのは、商品名・サービス名、会社名、ロゴなどの商標登録です。
ブランド化したいネーミング、他社、他社製品、他社サービスと識別するために使用するロゴマーク等を決定しましょう。
1.2「区分」の決定
商標が決まったら、次にその商標を使用したい商品・サービスの区分を決定します。
商標権は、商標(ネーミング・ロゴ)と使用する商品・サービス(指定商品・指定役務といいます)の組み合わせに対して発生するものです。
商標登録出願を行う際には、商標を使用する商品・サービスと、それらが属する区分を記載する必要があります。
区分というのは商標を使用したい商品・サービスなどが属するカテゴリのことです。全部で45区分(商品34区分+サービス11区分)あります。45区分の中から自社の商品・サービスがどの区分に属するか選んでいきましょう。
どの区分に登録したらよいかわからない場合は、似たような商品・サービスに使われている登録商標を検索してみて参考にすることができます。
同じ商標でも、登録する指定商品・指定役務・区分によって商標権の価値は大きく異なってくるので、区分の決定は慎重に行う必要があります。
多くの商品・サービス展開を考えている場合にいきなり多数の区分で商標登録をしようとすると、費用(出願料、登録料、更新料)が高額になってしまうことがあるので注意が必要です。
1.3 決定した商標・区分が他者に商標登録していないかの調査
商標・区分が決まったら、他社が既に同一または類似する商標を同一または類似する区分に登録していないか調査確認します(このような調査のことを先行商標調査と呼びます)。
他社によって既に商標登録されている商標(ネーミング・ロゴ)+区分の組み合わせと同じまたは類似する商標・区分で商標登録出願をしても、登録査定を受ける事ができないからです。
調査には、特許情報プラットフォーム J-Platpatを使用します。
調査の結果、他社によって既に商標登録されていることがわかったら、そのまま商標を使用してしまうと商標権侵害になってしまう可能性があります。
商標を変更するか、専門家(弁理士、弁護士等)に相談するなど慎重に行動して下さい。
1.4 出願書類の作成
先行商標調査で他社による商標登録がなされていないことが確認できたら、商標登録出願を行うための書類を作成していきます。
独立行政法人 工業所有権情報・研修館のサイトに商標登録出願のためのフォーマット(ワードファイル)が用意されているので、ダウンロードして使用します。
書類の書き方は、「商標登録出願書類の書き方ガイド」を参考にします。
1.5 商標登録出願|特許庁への書類の提出
出願書類が完成したら特許庁に提出します。このように商標登録を受けるための出願書類を特許庁に提出する手続きのことを商標登録出願といいます。
商標登録出願は、特許庁に紙の書類の持参・郵送する方法か、インターネットを通じてオンラインで提出する方法を選択できます。
インターネットを通じて行うオンライン出願は、電子証明書(有償)や専用のソフトウェアを事前に用意する必要があり、紙の書類で行うやり方より、費用面・準備面・手続き面でハードルが高めです。
初めて商標登録出願を行う場合は、特許庁に持参・郵送する方法がおすすめです。
提出先は、特許庁のウェブサイトの以下のページを下の方にスクロールしていくと詳しい情報があるので参照してください。
1.6 審査|方式審査と実体審査
特許庁に対して商標登録出願が完了すると審査が開始されます。審査は二段階で行われます。
最初に行われるのは方式審査と呼ばれる書類の書き方・手続き面でのチェックです。
特許庁の方式審査はとても厳格なため、わずかな記入漏れ・手続きミスも容赦なく指摘され修正を求められます。対応期限も厳格に定められているので期限内に適切に対応しましょう。
方式審査が終了すると、いよいよ審査官によって二段階めの審査=「商標登録が可能か?の審査」が行われます。これを実体審査と呼びます。
実体審査に必要な期間は、出願された商標を使用する商品・サービスの区分・審査室により異なります。
平均すると、だいたい出願後9ヶ月から14ヶ月で実体審査は完了します。
特許庁のウェブサイトに各区分・審査室でどれくらいの期間が必要か情報がまとめられているので参考にしてください。
早期審査という手もある
14ヶ月も待てない方は、早期審査を申請するという手もあります。早期審査を申請すると、審査期間を約2ヶ月程度に短縮することができます。
早期に商標を使いたい、Amazonブランド登録を早く完了させたい等の事情がある方は、早期審査を活用しましょう。
1.7 拒絶理由通知|登録できない旨の通知
実体審査の結果、審査官から商標登録することができないという内容の通知が来ることがあります。
このような通知を拒絶理由通知といいます。
拒絶理由通知は、商標登録できない旨の第一報であり、確定的な通知ではありません。出願人が適切に対応することによって拒絶理由が解消され商標登録を受けることができる場合も多いのであきらめず対応しましょう。
拒絶理由通知には、いつまでに対応しなければならないかという期限が記載されています(このような期限を応答期間と呼びます)。
必ず期限内に対応するようにしましょう。
1.8 反論の提出|意見書・補正書で対応
拒絶理由通知に対する反論の方法は三通りあります。
意見書とよばれる書類で審査官に対する反論を述べる方法、手続補正書と呼ばれる書類で商標登録出願の内容を変更・修正する方法、これらの方法を併用する方法です。
どのような対応をすれば商標登録を受けることができるかはケースバイケースです。
特許庁のウェブサイトに「商標の拒絶理由通知書を受け取った方へ」というコンテンツがあるので参照してください。
参考:「商標の拒絶理由通知書を受け取った方へ」
1.9 登録査定通知|商標登録が認められた旨の通知
実体審査の結果、審査官によって商標登録が認められると登録査定通知と呼ばれる書類が送付されてきます。
ここまで来ると商標権発生まであと少しです。
1.10 登録料納付 → 商標権発生
登録査定通知を受け取ってから30日以内に登録料を納付します。登録料は特許印紙と呼ばれる印紙で納付します。
納付しなければならない登録料は、出願時に指定した区分数、登録を希望する年数(5年か10年か)に応じ、以下の式によって決まります。
- 5年納付の場合の登録料=16,400円×区分数
- 10年納付の場合の登録料=28,800円×区分数
登録料が納付されると、商標権が発生します。出願人の手元には登録証が発送されてきます。
商標登録を受けた後は、商品・サービスに商標登録表示(「商標登録第*****号」や「®」などの表示)を付すことができます。
2. 商標登録出願代理を弁理士に依頼するメリット
このような商標登録出願はもちろん自分ですることもできますが、特許事務所・弁理士に依頼して手続を代理してもらうこともできます。
実際、この記事を読んでくれている方の中にも特許事務所・弁理士への依頼を検討している方も多いと思います。
そこで、この章では商標登録出願代理を弁理士に依頼するメリットを説明いたします。
メリット1|商標をどの区分に出願するかのアドバイスを受けられる
商標登録出願を行う際に、もっとも悩むのが区分の選択と言われています。
一つの理由は、区分・分類を表す用語が難解だからです。
また近年は、従来のジャンルに属さないサービス・商品を提供するスタートアップ企業も増えています。これまでに無いサービスなので、他社を参考にすることもできず、どの区分に出願したらよいかの判断は困難です。
特許事務所・弁理士に商標登録出願代理を依頼すれば、出願すべき区分についてアドバイスが受けられます。
メリット2|商標・区分の類似性についてアドバイスを受けられる
先行商標調査を行っていて、よく似た商標が見つかったのだけど、その商標と自社が出願しようとしている商標が「類似」するものかどうかの判断はとても難しいです。
過去の審査基準・判例・審決例等の多数の情報を考慮した上で類否判断しなければならないからです。
特許事務所・弁理士に商標登録出願代理を依頼すれば、そのような類否判断を任せることができます。
メリット3|調査結果をふまえ迅速に商標登録出願までたどり着ける
商標登録出願は、いわゆる「早いものがち」なので、できるだけ早期に出願したほうが有利です。
しかし先行商標調査、書類の作成には相応の時間が必要となります。ましてやそれが初めての作業となると、かなりの時間が必要となることが予想されます。
特許事務所・弁理士に商標登録出願を依頼することにより、出願までの時間を大幅に短縮できます。早期に出願することは商標登録が認められる可能性が上がることに通じます。
メリット4|拒絶理由通知への対応でアドバイスを受けられる
実体審査の結果、審査官により拒絶理由通知が発せられた場合、これに反論するには多くの類否判断に関する知識など多くのノウハウが必要となります。
拒絶理由通知に適切に対応を行い、商標登録へと導く可能性を高めることができるのも特許事務所・弁理士に依頼するメリットです。
メリット5|商標権の更新登録申請手続きを依頼できる
商標権の更新登録申請手続きを任せることができるのも特許事務所・弁理士に商標登録出願を依頼するメリットです。
商標権の存続期間終了時に、特許庁は通知を送ってきてはくれません。他方で、適時に更新料を納付しないと商標権は消滅してしまいます。
多くの特許事務所は、そのような更新料納付期限の管理を代行してくれます。
3. まとめ
今回は、商標登録出願から商標権発生までの流れを説明しました。
商標権発生までのステップは10ステップです。この記事とこの記事にはってあるリンク先の情報をうまく活用していくことで、これら10のステップは自社で行うことができると思います。
他方で、これらのステップを特許事務所に代行してもらうことには多くのメリットが存在するのもおわかりいただけたと思います。
なにより、商標登録出願を特許事務所に依頼すると、価値ある商標権をより確実に取得することができます。
商標権取得を検討する際には、ぜひ参考にして下さい。
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